DeployGate
株式会社ディー・エヌ・エー Interview
株式会社ディー・エヌ・エー Interview
DeployGate Interview

株式会社ディー・エヌ・エー

企業情報

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エー
https://dena.com

事業内容
ゲーム事業 / ライブストリーミング / スポーツ / その他

ご利用中のプラン
DeployGate Enterprise

「なくなったら現場が止まる」 DeNA大規模ゲーム開発の現場担当者が語る、『DeployGate』を選んだ理由とは?

「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」をミッションに掲げる、株式会社ディー・エヌ・エー。ゲーム、ライブコミュニティ、スポーツなど、さまざまな分野に事業を展開しています。
そんな同社は、『DeployGate』のエンタープライズプランを利用しています。グローバル展開を前提とした大型モバイルゲームの開発現場では、開発・運用体制の複雑化に伴い、日々のビルド配布やテスト環境の整備など、周辺業務の負荷が大きな課題となりがちです。『DeployGate』は、こうした大規模かつ長期にわたるプロジェクトの安定した運用を支える基盤としても活用されています。
今回は、株式会社ディー・エヌ・エー ゲームサービス事業本部 開発運営統括部 第一技術部 ゲームエンジニアリング第二グループの水本さんとIT本部 IT戦略部 テクニカルオペレーショングループに所属する矢島さんに『DeployGate』の導入背景から実際の運用方法、内製ツールからのリプレイス判断まで、じっくりとお話を伺いました。

100名体制で進める、DeNAのグローバルゲーム開発

株式会社ディー・エヌ・エー

ー まず、お2人の自己紹介からお願いします

水本さん:2018年11月に株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)へ入社し、モバイルゲームのエンジニアとして、主にリリースまわりの仕組みづくりを担当しています。現在は、グローバル展開している大型タイトルの開発環境や運用フローの整備に携わっています。
このプロジェクトは非常に大規模で、社内の開発メンバーに加え、協業先やローカライズ、QAなど多くのステークホルダーと連携しながら進行中です。複数のバージョンを並行して開発し、日々の成果物をビルドとして各所へ継続的に提供することで、安全なリリースを目指しています。その一環として、担当タイトルで『DeployGate』の導入も進めました。現在もビルドを継続的にアップロードしながら、運用面の改善にも取り組んでいます。

矢島さん:私は、2015年にDeNAへ入社し、始めはネットワークグループでデータセンターやオフィスのネットワーク運用を担当していました。そこから、2023年にIT戦略部へ異動し、社内で利用中のツールやサービスを管理するグループに所属しています。
現在は、Google WorkspaceやSlack等の全社利用ツールのほか、事業単位で使用しているツールの1つとして『DeployGate』のアカウント管理や契約対応を行っています。管理しているツールは多岐にわたり、私個人が担当しているツールだけでも、40種類以上あります。

ー どのような開発体制なのでしょうか?

水本さん:私が所属するゲームサービス事業本部 開発運営統括部には、500名以上のメンバーが在籍しており、社内でも最大規模の組織です。その中で私が担当するプロジェクトには、現在100名弱のメンバーがアサインされています。開発チームにはエンジニアが20〜30名ほど在籍し、デザイナー、プランナー、マーケターなど、さまざまな職種のメンバーが横断的に関わっているのが特徴です。
また、開発はDeNAが中心ですが、 IP案件という特性上、外部パートナーとも連携しながら進めています。加えて、QA業務は外部に委託し、多言語展開に対応するため翻訳会社とも連携。LQA(言語品質保証)も体制に組み込むことで、グローバルで通用する品質の維持にも取り組んでいます。
このように体制が大規模かつ多層的であることから、開発は長期スパンを前提としています。月1回のアップデートに対し、実際の開発期間が1年近くに及ぶケースもあるぐらいです。こうした状況に対応するため、複数のバージョンを同時に進行させながら、アップデートごとに機能やイベント単位で内容を整理し、不具合対応にも並行して取り組んでいます。

安定運用のカギは「継続的なマージとビルド」にあり

株式会社ディー・エヌ・エー

ー 『DeployGate』の日々の活用について聞きたいです

水本さん:『DeployGate』は、日々のビルド配布に欠かせない存在です。エンジニアだけでなく、デザイナーやマーケターなど他職種のメンバーも活用しており、それぞれが必要なタイミングでビルドを確認できる環境が整っています。
具体的には、複数のバージョンを同時に開発しているため、毎日さまざまなグループ向けに数十個のビルドをアップロードしています。『DeployGate』ではチームごとに権限設定ができるため、各メンバーが自分の役割に応じたビルドのみを確認できるようコントロール可能です。そのおかげで、混乱や取り違えもなく、安定した運用ができています。
さらに、CI/CDではJenkinsを利用しているタイトルやGitHub Actionsを利用しているタイトルがありますが、いずれも『DeployGate』を活用しています。ビルド配布後にSlackに自動通知を送信し、スレッドにダウンロード用のQRコードを自動掲載するといった自動化を組み込むことで、関係者がより便利にスムーズにビルドにアクセスできるようになっています。

ー 外部パートナーも巻き込んだ開発ならではの難しさはあるのでしょうか?

水本さん:そうですね、調整や管理の難しさは日々感じています。例えば、QAだけで100名を超える体制の中で、協業先に向けて4種類のアプリを同時に提供するような場面もあります。こういった状況では、社内と外部で異なるバージョン番号を使っているケースも多いことから、それぞれのビルドが何に対応しているのかを正確に把握・管理する必要があります。現在はスプレッドシートとスクリプトを活用してリリース状況を整理していますが、運用の負荷は小さくありません。
開発中のアプリの配布においてはプラットフォーム側の仕組みなど複雑な要素が多い中、『DeployGate』を利用することでより便利に開発ビルドをデリバリーし続けられており、外部向けのビルド提供においても欠かせない存在になっています。

ー 大規模開発における開発の苦労や意識していることなどを伺いたいです

水本さん:大規模なIPタイトルということもあり、複数の案件やアップデートが常に並行して動いています。その分、マージ作業やビルド生成が少しでも滞ると、全体の進行に大きく響いてしまいます。
たとえば、QAが1時間止まるだけでも、100名体制であれば100時間分のロスが発生。実際、ちょっとした不具合が思わぬ遅れにつながることもあるため、細かい部分も気が抜けません。
そうした状況を踏まえ、私たちは毎日の開発やQAを止めないことを強く意識しています。開発スピードを維持し続けるには、継続的なマージとビルドの安定運用が欠かせません。

『DeployGate』がなければ、大規模環境は回らない

株式会社ディー・エヌ・エー

ー お話を伺っていると、複数のバージョンを並行して開発されていたり、アップデート頻度も高い印象ですが、そのあたりはいかがですか?

水本さん:バージョンごとにブランチを分けて開発をしていくのですが、これまでのタイトルでは、それぞれのブランチごとの責任者が、別のバージョンのブランチの内容を統合して変更を伝搬するといった作業が行われていました。しかしながら、このフェーズが非常に複雑で、ビルドが壊れてしまうといった問題も発生していました。
現在は各開発者のプルリクエストの単位で自動で別バージョンのブランチに変更を伝搬する自動化を取り入れており、大きく改善しています。より安定的で効率のよい並行開発を目指して日々こういった課題の解決を行っています。

ー 日々の運用の中で、特に助かっている機能や、これがあるからこそ回っているという使い方があれば教えてください

水本さん:細かい機能も含めるといろいろありますが、特に助かっているのは、『DeployGate』の安定性です。私たちは日々30〜50ほどのビルドをアップロードしており、ファイルサイズもかなり大きくなることがありますが、4年間で不安定になったのはわずか2〜3回程度。ほとんど止まることなく使えており、ここに手がかからないのは非常に大きいです。
加えて、iOSビルドにおけるUDIDの管理も便利な機能の1つです。Web UI上で対象のUDIDをすぐに確認できるため、AppleのDeveloper Consoleを開かずとも、証明書やビルドに正しく反映されているかを迅速にチェックできます。
他にも、CI/CDの運用において、アプリごとに権限を設定できる点も重宝しています。協業先やQAに対する細かいアクセス管理ができるのは、実務上とても助かっています。
実は個人的にも、前職時代から『DeployGate』にはお世話になっていて、2015年ごろから使い続けています。当時は5人ほどの小規模チームで、XcodeからUSB経由で端末にインストールしていたのですが、DeployGateを導入してから配布まわりの負荷が一気に軽減されました。今のような大規模な開発環境では、もうこれなしでは回らないと感じています。

矢島さん:管理者の立場で数年間『DeployGate』の管理を実施してきましたが、安定して稼働している点が非常に助かります。日々多くの関係者が利用しているツールなので、トラブルなく運用できていることが、管理者の安心材料になります。
また、ステータスページや公式Xで運用状況を発信してくれているのはありがたいですね。多くのSaaSを利用していますが、こうした情報を発信していないサービスが多いんですよ。
利用者が多いので、何かあると社内からの問い合わせが一斉に来ることもありますが、『DeployGate』がしっかりトラブルに対応してくれる信頼感があるので、私たちとしても安心して構えていられます。

2ヶ月で内製ツールから移行完了、スムーズなリプレイスを実現

株式会社ディー・エヌ・エー

ー 開発を進めるうえでさまざまなサービスを利用されていると思いますが、導入はどのように進めることが多いのでしょうか?

矢島さん:サービスごとに目的や特性が異なるため、基本的に導入の判断や体制の構築は現場に任せています。ただし、セキュリティや認証といった共通の基盤部分については、私たちIT戦略部が支援に入ることが多いです。
たとえば、セキュリティ面では社内に明確なチェックフローがあり、それに沿って現場に確認をお願いしています。必要に応じ、セキュリティ部門や運用組織と連携しながら対応を進めることもあります。
また、IdP(認証基盤)との連携は、私たちが中心となって設定をしています。現場から新しいツール導入の相談があった際には、まずIdP経由でログインできるように設定し、そのうえで現場に引き渡すのが基本的な流れです。アカウント管理も一括で対応しています。
当社ではIdPとしてOktaを使い続けており、SAML連携の整備を進めていたタイミングで、現場から『DeployGate』との統合要望が上がり、一緒に連携を進めた経緯があります。そこから2020年頃、会社全体でオンプレミスからクラウドへの移行を進めていたため、『DeployGate』のようなクラウドベースのサービスを導入する流れは、ごく自然なものでした。

ー 『DeployGate』の導入も、クラウドへの移行タイミングでご検討いただけたのでしょうか?

水本さん:はい、まさにそのタイミングでした。以前は内製の配布ツールを利用していたため、スムーズに移行できるかどうかや、利用者が新しいツールに慣れてくれるかどうかに不安もありました。
ただ、DeployGateの皆さんとIT戦略部が丁寧に情報を整理してくださり、各タイトルごとに移行手順や利用方法を分かりやすく案内していただいたおかげで、安心して進めることができました。結果として、内製ツールからの移行でありながら、非常にスムーズな導入が実現できたと感じています。

ー 導入はスムーズに進みましたか?

水本さん:非常にスムーズに進みました。契約やアカウント管理周りはすべてIT戦略部が設計してくれていて、「あなたのアカウントはこれです」といった情報まで丁寧に整備されていたため、現場としても導入のハードルはほとんど感じませんでした。
私たちが対応したのは、内製ツールで管理していた情報の棚卸しや、再署名の工程を自前のCIで処理できるようにした部分くらいです。並行して通常の業務も進めていたため、当初は作業負荷が心配でしたが、事前準備がしっかりしていたおかげで問題なく移行できました。実際、2〜3ヶ月ほどで移行が完了し、3ヶ月目にはすでに通常運用へと移行できる状態になっていましたよ。

「ツールは、作って終わりではない」 現場がDeployGateを選んだ理由

株式会社ディー・エヌ・エー

ー リプレイスの前後で、業務にどのような変化がありましたか?

水本さん:基本的には、以前と同じ流れで業務を続けることができました。『DeployGate』への切り替え期間中も、開発を止めることなく並行して進められたので、移行による影響は最小限だったと思います。メンバー向けの説明も丁寧に行ったことで、大きな混乱は起きませんでした。
とはいえ、移行直後は「前はできていたけれど、今はできない」と感じる部分もありました。そうした点は要望としてDeployGateさんにお伝えしたところ、スピーディに改善対応いただけたので、大変助かりました。
実際に使ってみて感じるのは、運用上の痒いところに手が届く機能が多いということです。たとえば、QRコード付きの配布ページは読み取るだけで直接ビルドページへアクセスできますし、Android KeystoreをWebから設定できる点やiOSのUDID一覧が確認できる機能も、日々の問い合わせ対応や確認作業をスムーズにしてくれています。
内製ツールではこうした細部まで作り込めていなかったため、『DeployGate』に移行したことで運用全体のしやすさが大きく向上したと感じています。

ー あえて内製化する理由って、今、感じますか?

水本さん:個人的には、『DeployGate』を使わない理由が見当たりません。同じレベルの配布環境を内製で再現するのは、正直かなりハードルが高いです。たとえば、iOSのUDID一覧をWeb上で確認できるといった細かな機能も、自分たちだけでゼロから作り込むのは現実的ではないと感じています。
つい開発者は、「これくらいなら自分で作れる」と思ってしまいがちですが、内製ツールは作って終わりではなく、作ったあとの維持が大変なんです。もし、開発者が異動や退職で抜けてしまうと、誰も触れられなくなるリスクもあります。
『DeployGate』なら、責任を持って運用してくれる安心感がありますし、私たちも安心して開発に専念できる。そのバランスが非常にありがたいですね。

ー 現場での運用メリットは大きかったとのことですが、導入判断やコストの面ではいかがでしょう

矢島さん:選択肢として内製が絶対にダメとは思いませんが、もし作るのなら「何のために」「どこまでの期間」「どんな覚悟で作るのか」を、最初にきちんと定め、取り組む必要があると感じています。
確かに内製は、初期コストを抑えられるように見えるかもしれませんが、継続的な運用やメンテナンスが必要ですし、プラットフォームの仕様変更にも都度対応しなければなりません。1〜2年スパンで見たとき、「その負荷を本当にチームで背負いきれるのか?」が問われます。
その点、『DeployGate』の導入は「何を自分たちで持ち、何を任せるか」を整理できた良い成功例だったと思っています。コストや運用面を含めて、非常に合理的な選択でした。

リクエストした機能が数か月後にリリースされた驚き

株式会社ディー・エヌ・エー

ー 先ほど、導入当初にご要望をお送りいただいたとのことでしたが、その時のやり取りについて、もう少し詳しく教えてください

水本さん:導入当初、チーム内で一番多く声が上がったのは、ビルドの検索機能についてでした。アップロード後のビルドの修正や削除など、以前の内製ツールではできていたことが、『DeployGate』では当初対応されていなかったため、そのギャップが気になる人も多かったようです。
ちょうどそのタイミングで、IT戦略部経由でDeployGateさんからヒアリングのアンケートが届きました。まさにこちらから相談したいと思っていたときだったので、ありがたかったですね。
アンケートでは、「全部叶えてほしいというより、現場の声として伝えておきたい」というスタンスで回答しましたが、数ヶ月後には実際に要望した機能がリリースされていて、正直驚きました。スピード感もあって、すごく嬉しかったです。

矢島さん:IT戦略部では提供中のツールについて、年に1度「使い心地はいかがですか?」という全社向けのヒアリングを実施しています。また、日々の問い合わせ対応の中で現場の要望を拾ったり、運用中にベンダーさんからヒアリングの機会をいただくこともあります。
DeployGateさんも、そうしたヒアリングの機会を設けてくれたベンダーの1つで、現場の声をしっかり受け止めたうえで改善してくれる姿勢が見えていて、非常にありがたかったです。企業によっては対応が難しいケースもある中、あの時のスピード感は特に印象に残っています。

チームが”本質に集中できる環境”を支える存在として併走し続ける

株式会社ディー・エヌ・エー

ー もし『DeployGate』がなくなったら、どのような影響が現場にありますか?

水本さん:正直、なくなったら困りますね。もちろん、代替手段を探すことになるとは思いますが、今のところ、『DeployGate』と同レベルの機能や使い勝手を備えたサービスは思い当たりません。
開発・QA・協業パートナーなど、多くの関係者が日常的に利用しているツールなので、仮に他のサービスに切り替えるとしても、まず全関係者への説明、環境の再構築、フローの見直し……と、かなりの手間と時間がかかります。
しかも、単なるツールの置き換えにとどまらず、日々の開発フローや運用体制そのものにも影響が及ぶレベルです。万が一、突然使えなくなったとしたら、現場の業務が一時的に止まってしまうことも、十分あり得ると思います。

ー そこまで必要とされる理由として、特に価値を感じているポイントがあれば教えてください。

水本さん:やはり、日々の運用を止めずに安定して使えるという点が、一番大きな価値だと思っています。特に私たちのように、多くの関係者と並行して開発を進めるプロジェクトでは、ビルドが配布できないだけで開発全体に影響が出てしまいます。その点、『DeployGate』は障害がほとんどなく、安心して任せられる基盤として機能してくれています。
また、QRコードによるビルド配布や、UDIDの一覧確認など、現場で「こういうのが欲しい」と感じるような細かな機能がしっかり備わっているのも魅力です。自分たちで内製しようとすると難しい部分まで、きちんと対応してくれている。かゆいところに手が届く、頼れるツールだと感じています。

ー 最後に、今後の展望についてお伺いしたいです

水本さん:今後も『DeployGate』を活用しながら、安定したビルド提供を継続していくつもりです。現時点でも十分満足していますが、強いて挙げるなら、私たちのように1チーム内で複数のグループを運用するケースにおいて、もう少し利便性が高まると、さらに扱いやすくなると感じています。
これから先、長きにわたってユーザー様に良いサービスを提供しつづけるためにも「10年以上続くゲーム開発」をどう実現するか。この問いにも、しっかり向き合っていかなければなりません。
今はもう「ゲームだけ」を作ればいい時代ではなくなりました。開発の周辺では、本質的ではない作業が数多く発生しています。だからこそ、それらを可能な限り自動化し、CI/CDの整備などを通じて、チームが本質に集中できる環境を整えていきたいですね。
まさに『DeployGate』は、こうした環境を支える足場のような存在です。今後も変わらず、安心して使い続けられることを期待しています。

ー 水本さん、矢島さん、お時間をいただき、ありがとうございました!