DeployGate
BASE株式会社 Interview
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BASE株式会社

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BASE株式会社

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事業内容
Webサービス企画・開発・運営

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DeployGate Flexible

『Pay ID』のアプリ開発をスムーズに。安心/安全な顧客体験を支える『DeployGate』の役割とは?

「Payment to the People, Power to the People.」をミッションに掲げる、BASE株式会社。ネットショップ作成サービス『BASE(ベイス)』をはじめ、購入者向けショッピングサービス『Pay ID(ペイ アイディー)』など、決済・金融を主軸に、個人やスモールチームをエンパワーメントするプロダクトの企画・開発・運営を行います。
そんな同社では、『DeployGate』のFlexibleプランを活用しています。toC向けの決済サービスということで金額などのセンシティブな情報を扱いますが、『DeployGate』はその開発において重要な役割を果たしています。
そこで今回は、BASE株式会社 Pay ID Division エンジニアリングマネージャー 北川さんに、『DeployGate』の具体的な活用方法や、決済サービスの開発現場での役割についてお話を伺いました。

少数精鋭でネイティブアプリの開発を進めるBASE

北川さん

ー まず北川さんの自己紹介からお願いします

北川さん:私は2017年11月にBASE株式会社へ入社し、決済事業を行うPAY Divisionに配属されました。当時はBASE社内の一事業部でしたが、現在はPAY株式会社として分社化されています。そこから、2020年末に部署異動し、以降はネットショップ作成サービス『BASE』の業務にも携わるようになりました。
2025年現在は、BASE社内で購入者向けショッピングサービス『Pay ID』を提供する事業部に所属し、『Pay ID』のID決済機能や自社開発のBNPLである『Pay ID あと払い』のiOS/Android開発チームでエンジニアリングマネージャー(以降、EM)を務めています。

ー EMとして管掌されているチームについてもお伺いしたいです

北川さん:Pay IDチームには、バックエンドやフロントエンドといったエンジニアを中心に、プロダクトマネージャー、デザイナー、ビジネスメンバーが所属しています。
複数の開発チームが存在する中で、iOS/Androidの開発を推進するネイティブアプリチームを管掌しているのですが、アプリの規模に対して少数精鋭の体制で開発を進めているのが特徴です。また、QAエンジニアはグループ全体の専門チームが管轄し、プロジェクトごとに関与する体制となっています。

ー Pay IDチームの開発における特徴はありますか?

北川さん:Pay IDチームの開発には、大きく「スモールチームでのスピード感」「技術的なチャレンジの多さ」「柔軟な開発スタイル」という3つの特徴があります。
まず、Pay IDチームはBASEグループ内で新規事業の立ち位置にあり、スモールチームで新しいことに挑戦しながら、スピード感と柔軟性を持って開発を進めています。
加えて、『Pay ID』はtoC向けの決済サービスであり、大量のデータを扱うため、技術的なチャレンジが多い点も特徴の1つです。直近では、アカウント基盤のリプレイスを実施し、サービスの改善を進めています。技術基盤を強化しながらも、スケールする仕組みを作ることで、ユーザーにとって安心で使いやすい決済サービスの提供を目指します。技術的にも非常に面白く、やりがいのある領域ですね。
実際の開発については、チームメンバーと週次でディスカッションを重ね、試行錯誤しながら進めています。リリース頻度は短いもので2週間、長期のプロジェクトでは3ヶ月スパンで進行することもあります。基本的にPdMが仕様をまとめ、ある程度骨子が固まった段階でエンジニアも交えて具体的な議論を進めるスタイルです。

配布ページでスムーズなテストとバージョン管理を実現

北川さん

ー 『DeployGate』を知ったきっかけは何だったのでしょうか?

北川さん:私がBASE社に入社した2017年には、すでに社内で『DeployGate』は導入されていましたが、サービス自体は前職の頃から知っていました。業務では使用していなかったものの、DroidKaigiの公式アプリの開発で利用されていることを聞いており、個人でも試していたからです。
当時は、アプリを配布・インストールするためのサービスが現在ほど充実しておらず、国内でこうしたツールが提供されているのは珍しいことでした。また、特定の組織に依存せず、エンジニア個人でも利用できるプランがあったことから、自由度の高さを感じました。
この頃から、APKを直接やり取りせずに、UIを通じてインストールまで完結できる『DeployGate』の仕組みに革新性を感じており、その便利さは今でもよく覚えています。

ー 開発のどのタイミングで『DeployGate』を利用されていますか?

北川さん:最初にFigmaでプロトタイプを作成し、それをもとにエンジニアがUIを実装。その後、『DeployGate』にアップロードし、配布ページを通じて都度テストを行っています。
ただし、リリース前のテストは最終的な動作確認が目的ですので、デザインに関するフィードバックはそれ以前の段階で受けるよう意識しています。実際に触れることで新たな改善点が見つかることもあるため、早い段階で確認を重ねることが重要だからです。

ー どの機能をよく利用していますか?

北川さん:主に「配布ページ」を利用しています。開発の初期段階から活用し、特に『BASE』を担当しているチームとの連携時に使用することが多いです。他にも、チーム内で実施する、リリース前の動作確認にも配布ページを利用しており、ストアにアップする準備が整った段階で配布ページにアップロードし、最終的なチェックを行っています。
配布ページのメリットとしては、バージョンを固定できる点が挙げられます。同じ配布ページを使いながら、前回のバージョンからアップデートを行い、テストすることが可能であり、バージョン間における差分の確認にも役立っています。

『DeployGate』なら、非同期の業務も効率化できる

北川さん

ー 『DeployGate』を活用するうえで工夫されていることはありますか?

北川さん:配布の頻度や効率化を重視し、開発プロセスを円滑に進めるための仕組みを整えています。
たとえば、GitHubでプルリクエストを作成すると、自動でラベルが付与され、それに応じた配布ページが『DeployGate』上に生成される仕組みを導入しました。これによって、プルリクエストの作成と同時にデザイナーがレビューできるようになりました。
また、レビュー時のコミュニケーションにも工夫を加えています。エンジニアはSlackに配布ページのリンクを貼り付け、注目してほしいポイントを具体的に伝えることで、レビューを円滑に進められるようにしました。ちなみにですが、通知専用のチャンネルは設けず、必要な情報のみをやり取りするようにしています。
さらに、安定版と最新版のアプリを使い分けられるよう、Slack上に2つのインストール用チャンネルを設けています。安定版が必要な場合と、最新の動作確認を行いたい場合でチャンネルを分けることで、それぞれの用途に応じたテストが効率的に行えるようになりました。
一方で、社内のQAチームはBASE社全体の開発に関わり、複数の事業をまたぐテストを担当しています。たとえば、『BASE』を利用するショップ向けの機能をリリースする際に、『Pay ID』との連携部分を確認することがあります。こうした横断的なテストをスムーズに行うため、QA業務が非同期で進めやすいよう、社内全体で活用できる配布ページを用意し、好きなタイミングで自由にアプリを確認できる環境を整えています。

ー 今後どの機能を利用したいなどありますか?

北川さん:「キャプチャ機能」は便利そうなので、今後は積極的に活用していきたいですね。
特にAndroidの実機で作業を行う際、データの転送手段が煩雑になりがちですが、このキャプチャ機能が大いに役立っています。セキュリティ面でも安心感があり、さらにSlack通知にも対応しているため、チーム内での共有もスムーズ に行えます。
また、ログの内容が直接確認できるため、テスト中にクラッシュが発生した際、その原因を特定するのに非常に便利ですね。 実際に使ってみて、その利便性を実感しています。
加えて、最近ではSDKを導入したことで、生ログの確認もできるようになりました。 キャプチャを取得した際にLogcatやデバイス情報も一緒に取得できるため、ネットワーク環境やバッテリーの温度まで把握できるようになり、より詳細なデバッグが可能です。

ー 最近になり、別チームでも『DeployGate』の利用が始まったと伺っています

北川さん:現在、BASEアプリチームでも『DeployGate』の利用が進み始めています。
BASEアプリは、ネットショップ作成サービス『BASE』のショップオーナー向けのモバイルアプリです。これまで、BASEアプリではVisual Studio App Centerを活用していましたが、3月末で同サービスが終了することを受け、移行先を検討。その結果、『DeployGate』を新たな配布ツールとして導入し、現在はアプリのアップロードや運用フローへの組み込みを進めています。

ユーザーニーズを踏まえ、常にアップデートされていく期待感がある

北川さん

ー プロダクト以外のサポートについて感じることはありますか?

北川さん:ドキュメントがしっかり整備されているため、とても助かっています。主にfastlane経由でサービスを利用しているのですが、シンプルなインターフェースで拡張性が高く、非常に使いやすいです。 配布ページの生成も簡単で、運用面でも便利ですね。
個人的には、サポートの手を借りる必要がないくらいドキュメントが充実していると思います。そのため、独力で十分に対応でき、これまで困ったことは特にありませんでした。
さらに、『DeployGate』が紹介している、活用事例を参考にすることもあります。たとえば、先ほどお話しした「GitHubでプルリクエストを作成すると、自動でラベルが付与される仕組み」は、DroidKaigi 2021の登壇で紹介されていた継続的インテグレーションのアイデアを取り入れたものです。

ー 『DeployGate』のどこに価値を感じますか?

北川さん:fastlaneなど他ツールとの連携も可能であることもそうですが、私が特に評価しているのは「簡潔なインターフェースで直感的にアプリを配布できること」です。
QRコードを読み取り、ガイダンスに従って進めるだけでインストールが完了するため、エンジニア以外のメンバーも簡単に利用できます。 他のサービスと比較しても、どのバージョンをインストールすればよいのか迷うことが少なく、余計なステップを省略できることも大きな利点だと感じています。
また、最近のアップデートでリビジョンごとのURLが生成されるようになったのは、とても嬉しい改善でした。 コミュニケーションの中で「このバージョンを確認してください」とURLを共有するだけで済むため、やりとりがよりスムーズになったからです。
『DeployGate』には、ユーザーのニーズを踏まえながら、常にプロダクトがアップデートされていく期待感があります。

ー もし『DeployGate』がなくなったらどんな影響がありますか?

北川さん:さまざまな代替手段は考えられますが、PM、QA、デザイナーなど開発者以外のチームメンバーや他部署の方々など、様々な人たちも使いやすい形でアプリを配布するのは難しくなると思います。

目指すは、ユーザーとショップオーナー双方にとって価値のある体験の提供

北川さん

ー 開発において、大切にしていることはありますか?

北川さん:基本的なことを丁寧に行うことです。 たとえば、テスト工程を適宜見直しながら進めることが重要だと考えています。ただし、テストに時間をかけすぎるとリリースが遅れてしまうため、バランスを取りながら、できるだけ早くユーザーに価値を届けることを意識しています。
特に、『Pay ID あと払い』支払いの履歴をアプリで確認できる機能では、金額などの情報が非常にセンシティブなため、慎重なテストが欠かせません。 また、期日に間に合って買い物ができるUXを担保するためにも、動作確認を徹底しています。
一方で、自動テストの導入が十分に進んでいない部分もあります。 今後提供する機能が増えるにつれ、手動テストの負担が大きくなることが予想されるため、開発スピードと品質の両立を目指しながら、テストの自動化を進めていきたいです。

ー 今後の展望についてお伺いしたいです

北川さん:チームとしては、『Pay ID あと払い』の機能改善に引き続き取り組んでいきたいと考えています。 昨年11月には『Pay ID 3回あと払い』という分割支払い機能をリリースしましたが、これをさらにブラッシュアップし、より多くのユーザーにとって利便性の高いサービスへと進化させたいと考えています。
また、『Pay ID』はショッピングアプリ機能(以下、『Pay IDアプリ』)を持ち、ネットショップを探せるだけでなく、ショップオーナーにとって集客効果を高める役割も担っています。 この相乗効果を強化し、ユーザーとショップオーナー双方にとって価値のある体験を提供することが、今後の大きな目標です。
特に、『Pay IDアプリ』には多種多様なショップが掲載されており、大手ECモールでは見つけられない商品との出会いを提供できることが魅力の1つです。 そのため、ユーザーの行動に応じたレコメンド機能を強化し、最適な商品とのマッチングをよりスムーズに行える仕組みを整えていきたいと考えています。

― 『Pay ID 3回あと払い』はどのように企画されたのでしょうか?

北川さん:この機能は、ユーザーの声をもとに課題を整理しながら企画を進めました。 分割払いの導入にあたり、チーム内でもさまざまな議論を重ね、どのような形が最適かを検討しました。
分割払いには、法律対応などが求められるため、他の機能と比較して開発のハードルが高い側面があります。 そのため、エンジニアも法律を意識しながら開発を進める場面が多く、慎重な設計が必要でした。
開発においては、『Pay ID 3回あと払い』を利用する際に必要な本人確認のステップの部分で、バックエンドやフロントエンドとの密な連携が求められました。その際に、『DeployGate』で何度も動作確認を繰り返しており、改めてチームのコミュニケーションにおいて欠かせない存在だと感じました。
これからもプロダクトを改善していくうえで、『DeployGate』は欠かせないサービスなので、引き続きよろしくお願いします。

ー 北川さん、お時間をいただき、ありがとうございました!

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